薬を撒かない害虫対策

この記事は、弊社発行の『花梨の樹 2021年春号』からの抜粋です

暖かくなり、毛虫のシーズンがやってきましたね。
「消毒に伺いますよ~」と宣伝したいところですが、毛虫の「発生初期」にご自身で対策をすれば、実は発生率が結構下がります。
サザンカやツバキなどに発生する「チャドクガ」は意外と知らない人も多く、「庭で作業をしていたら、いきなり体中に蕁麻疹が出て痒くなり、びっくりして病院に行った」という話をよく聞きます。そのほか、人間に害のある代表的な虫を三種ピックアップし、ご自身でできる対処法をご紹介します。

チャドクガ

発生時期:5~6月 8~9月 年2回発生
発生樹種:サザンカ・ツバキ・チャノキなど
被害:葉を食害する。触るとジンマシンのように、めちゃ痒くなる。

対処方法

チャドクガの卵

発生前の2~4月中旬頃までに、葉の裏をよく見ると繭のような卵があります。この卵のついた葉っぱをゆっくりと切り取り、処分します。このとき卵やその近辺に痒みの元となる毛などがありますので、直接手でふれたり、枝葉をゆすったりしないよう気をつけてください。
9月にも第2波が発生しますので、8月中旬頃に葉の裏を観察してみてください。なお、見逃して発生してしまってからでは、近くを通っただけで痛烈な痒みを伴いますので、近づかないでソッとしておきましょう。

※私の経験では日本人の10人に1人くらいの割合で、チャドクガに触っても痒くならない「変人」がいます。その方は植木屋に向いている体質と言えるでしょう。(笑)

イラガ

発生時期:6~9月 随時発生
発生樹種:モミジ、カシ、モチ、ハナミズキ、サクラなど、大体の広葉樹に発生する。
被害:葉を食害する。触れると電気が走ったような激痛。

対処方法

イラガの幼虫
イラガの繭

これも発生初期(6月頃)に葉の裏を確認すると。小さい幼虫の群生があるので、それらが拡がらないうちに除去するようにします。また、よく発生する樹木には冬期に繭がありますので、それらを冬の間に見つけて潰しておくのも効果的です。
よく間違えられるのが、穴が空いた繭にはすでに幼虫はいません。生きている現役の繭は保護色をしており、よく見ると繭だとわかります。繭を潰す時も触ると痒いので、気をつけてください。余談ですが、イラガは人間の「手のひら」で触ると痛くないです。それほど人間の手は頑丈にできています。親からいただいたグローブ恐るべし!

(注)個人の主観によるものですので、よい子は真似をしないでくださいね。

テッポウムシ(カミキリムシ)

発生時期:5~9月
発生樹種:モミジ、みかん等の柑橘類、イチジク
被害:樹木の幹を食害する。後樹木が傷み、枯れる。

対処法

テッポウムシの被害に
遭っている樹木の根本
対策の例

子供の頃カブトムシやクワガタに次ぐ人気者だった昆虫「カミキリムシ」がまさかこんな植木の生死にかかわる害虫だったとは!
庭で成虫を見つけたら、近くの木の根元を見てください。カミキリムシが巣立った「脱出孔」という1㎝ほどの、丸い穴が空いているかと思います。その穴がある=幼虫のテッポウ虫が木の内部を食害している=樹木が後に衰弱する、という運びになります。よく「モミジの調子が悪い」、「ミカンやレモンの調子が悪い」というのは大体の原因は「これ」によるものです。

そうなる前に、予防する方法として、
幹の根元(20~30㎝)に生ゴミネットや細かい網を巻く。
こうすることで、カミキリムシが根元に卵を産み付けられなくなります。
発生期間は、木の根元を綺麗にしておき、新しく木の根元にオガクズなどが落ちていないか確認する。
落ちている場合(幹を食害している場合)は、針金などで穴を突いて幼虫を殺生するか、または市販されているカミキリムシ専用のノズル式の薬を穴に注入しましょう。

元気な木の場合は1カ所穴を空けられても、自力で穴を修復しますが、弱っている木だと枯れてしまう可能性大です。

是非チャレンジしてください!

以上の事をお客様ご自身でやってみると、その年の「毛虫の量」は格段に減るかと思います。
手に負えない場合などは、私たち業者に任せてください!ただしカミキリムシの駆除は、薬などの予防が難しく、業者よりもお客様の日々の確認が一番の良薬ですので、一度お庭でトライされてはいかがでしょうか?

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